【2009年6月9日(火)】

あみちゃんのお母さんから伝えられた、あみちゃんの様子です。

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お陰様で移植手術から4年が経ちました。愛美は5年生に進級し、4月に11才になりました。元気に過ごしています。身長は148cm、体重も同学年の平均を上回っています。
診察を含む外来は月に1回、採血は月に2回のペースは変わっていません。脳梗塞のリハビリのペースも変わらず、ST(Speech Therapy/言語療法)に月に1回、OT(Occupational Therapy/作業療法)に月に2回通っています。PT(Physical Therapy/理学療法)は3ヶ月に1回位のペースで実施しています。

今年も3月に心臓の拒絶反応を調べるために、入院をし、カテーテル検査をしました。幸いなことに今回も拒絶反応はありませんでした。通常4泊5日の定期入院中には、皮膚科・眼科・歯科の定期健診や精密な心エコー検査や24時間心電図などなど、毎回色々な検査を行います。愛美は採血の針を嫌がることはないのですが、点滴の針を入れることをとても怖がります。こればかりは今まで何十回(百回以上?)経験しても慣れることはないようで、入院の度に点滴の針を入れるまで大騒ぎしています。小学生も高学年になると、カテーテル検査を局部麻酔(全身麻酔より検査後が楽!)で行う子も多いので、愛美もそろそろ出来るかと期待していましたが、点滴だけであの様子だと、当分無理だと確信しました。とにかく種々の検査の結果も取り立てて悪いところはなかったようなので、本当に安心しました。

愛美の目下の趣味はピアノです。7月に発表会があるので、とても楽しみにしています。弟もピアノを習い始め、今回は一緒に参加するので、2人で練習しています。またナンバープレイスが得意で、新聞に載っている問題を、時間はかかりますが一人で解いてしまいます。あの集中力はすごいと感心しています。

この冬は鼻風邪が長引いて、風邪薬が手放せませんでした。インフルエンザを疑う位の高熱を出したこともありました。免疫抑制をしているので、感染症にはとても弱く、風邪を引きやすいです。今年は温かくなっても鼻風邪にかかること多く、かかると治りにくいし、早めにケアしないと高熱を出してしまうので、注意しています。でも大きなトラブルは無く、過ごせているので感謝しています。

既にご報告した通り、愛美は心移植する前に、脳梗塞を起しました。そのため右片麻痺が残り、失語症の後遺症もあります。愛美は「失語症」であることは分かっていましたが、それだけでなく何か他の障害も抱えているのではないかと漠然と思っていた時に、「高次脳機能障害」という障害を知りました。
「高次脳機能障害」は、事故などで頭部を強打して脳が損傷される外傷性脳損傷、脳出血、脳梗塞、くも膜下出血などの脳血管障害、その他低酸素脳症などを原因とする障害です。主に「記憶障害」「失語」「注意障害」「情緒・行動障害」などの症状があります。

知れば知るほど愛美に当てはまることがある様に思えて、08年12月に思い切って子どもの「高次脳機能障害」の専門医を訪ねてみました。結果、1ヵ月半入院をして、検査やリハビリをして、現状を評価することを薦められ、09年2月の初めから3月半ばまで入院をしました。その入院中は、ST・OT・PT・心理・体育の訓練(リハビリ)や院内学級にも通いました。身体的な障害と言語や心理的な障害、また学校生活の問題点を評価していただくことが出来て、それを踏まえての今後の対応の仕方もアドバイスいただき、とても有益な入院でした。

6歳で脳梗塞を発症した愛美は、それ以降の学習は習得するのが簡単なことではなく、とてもゆっくりになっていました。ゆっくりではありますが、6歳までに習得したことをフルに使いながら、確実に成長しています。先生は脳のMRIなどをご覧になり、大人であれば寝たきりであったり、話すこともできないはずだとおしゃっていました。

それを伺って、改めて愛美はよく頑張っているなと思いました。子どもの脳の可能性は計り知れず、健常の子ども達とは成長の速度が大きく違っていても、愛美のペースで成長し、幸せになってほしいと心から思います。情緒面でも幼いところが多々あるのですが、それも「高次脳機能障害」が原因でした。心と体のバランスが取れず、思春期に差し掛かることもあり、今後イライラすることも増えると思いますが、学校の先生や教育委員会の先生方などとも連携して、支えていきたいと思います。

昨年度から特別支援教室の通級に週1回通うことになったとご報告いたしましたが、今年度からは、特別支援教室の固定級に転校しました。これまで通っていた学区域の小学校には固定級がないため、学区域外の小学校に転校しました。今まで普通学級で本当に頑張ってきましたが、少しペースを落とすことにしました。

タイミングよく転校する前に、入院による「高次脳機能障害」の評価をしていただくことが出来、また固定級の先生が入院先まで来てくださったので、病院の先生方から直接評価結果を報告していただき、情報を共有することが出来ました。固定級では、愛美の障害に応じた学習をすることができるので、普通学級では大変苦労していた学習の時間を今の愛美に必要な学習に充てることができているように思います。

昨年度までの普通学級では、失語症もあり、お友達関係も難しく「話す」時間がほとんどなかったと思うのですが、今は学校で積極的に「話す」ことも増えています。また固定級は普通学級との交流学習もあるのですが、愛美は今まで算数は普通級でも100点を取るなどとても得意でしたので、算数は交流学習として普通学級の教室に訪問し、5年生の勉強をしています。週2回は給食も普通学級で食べています。普通学級のお友達から声をかけてもらうこともあり、愛美にとって、とてもいい環境で学校生活を過ごしています。学区域外の小学校のため、登下校の送り迎えが大変ですが、愛美は楽しいと言って、毎日喜んで通っていますので、転校して良かったと思います。

5月末には、運動会がありました。今年の種目は騎馬戦と90m走でした。騎馬戦の導入場面でダンスがあり、元気にダンスを踊りました。騎馬戦の参加は手足の麻痺のため、さすがに無理でしたが、太鼓を担当しました。愛美の太鼓に合わせて入退場をしたり、各対戦の開始の合図を担当し、立派に役目を果たしていました。一生懸命な姿に感激しました。

90m走は、走り切るだけでも信じられない気持ちなのに、なんと(4人中)2等に入り、期待以上の結果にとても驚きました。毎年運動会での愛美を見ると、移植前のことが走馬灯のように思い出され、胸がいっぱいになります。多くの方々に助けていただいたことを忘れることはないのですが、この日は感謝の気持ちがより溢れ出てきます。本当にありがとうございました。

5月19日で移植手術から4年経ちましたが、今年もドナーファミリーに愛美の写真を添えて、お手紙を出しました。愛美の近況とドナーとドナーファミリーに対する変わらない感謝の気持ちを伝えました。愛美が元気に、幸せに過ごすことを願ってくださっていると信じて、これからも最大限健康に留意しながら、一日一日を大事に過ごしたいと思います。

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「あみちゃんを救う会」事務局

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