【2010年6月15日(火)】

あみちゃんのお母さんから伝えられた、あみちゃんの様子です。

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お陰様で移植手術から5年が経ちました。 これまで、拒絶反応が出たり、脱水で入院したり、トラブルはありましたが、大事には至らず、元気に過ごすことができました。
今日があるのも、愛美に生きるチャンスをくださった多くの皆様のお陰です。 本当にありがとうございました。

愛美は4月に6年生に進級し、12才になりました。元気に過ごしています。身長は152cm、体重も増え、母親の私との体格の差が日に日に縮まっています。愛美は早く私の身長を抜きたいようです。
診察を含む外来は月に1回、採血は月に2回のペースは変わっていません。脳梗塞のリハビリは、ST(Speech Therapy/言語療法)に月に1回、OT(Occupational Therapy/作業療法)に月に2回通っています。PT(Physical Therapy/理学療法)は3ヶ月に1回位のペースで実施しています。
また昨年の冬に入院したリハビリの専門病院で、月に1回、体育の訓練を続けています。月1回ですが、卓球やバトミントンなどをとても楽しんでいます。体育の先生が愛美の返しやすいところに打ち返してくださることもあって、左手1本でもかなりラリーが続き、上達してきたように思います。

今年も4月に心臓の拒絶反応を調べるために、入院をし、カテーテル検査をしました。 幸いなことに今回も拒絶反応はみられず、冠動脈の太さも問題がありませんでした。 その他の検査も無事に終了し、本当に安心しました。
昨年までは、全身麻酔下でカテーテル検査を行っていましたが、今年は局部麻酔での検査に挑戦しました。全身麻酔から醒める時に、毎回と言っていい程、嘔吐などの辛い思いをしていましたので、愛美本人が説明を聞いて、検査後が楽な局部麻酔を選択しました。 しかし、いざカテーテル検査に向う時には、不安からか大泣きして泣き止みませんでした。 検査室で待っていてくださった先生は、初めての局部麻酔の時は、皆泣くんだよとおっしゃっていましたが、送り出す私はとても心配でした。
でも終わって帰って来ると、愛美は満面の笑みで、局部麻酔で良かったと言いました。先生が検査室で愛美の大好きな嵐のCDをかけてくださって、ご機嫌でカテーテル検査を受けていたそうです。(5年前はKinKi Kidsが大好きだったのですが、今は嵐が一番です。)

日常生活をいくつかご紹介します。
ピアノは楽しく続けています。昨年の7月と今年の3月に発表会がありました。 どちらも基本は左手だけですが、右の人差し指を何回か使って弾きました。その右の人差し指1本を使うことが、どんなに大変なことかを知っている私達は、尊敬するような思いでしたが、本人は平然としていました。

9月には、愛美の障害に合わせた3輪自転車を購入しました。 右手が使えないので、右のブレーキを左に移したり、サドルは座面が広く背もたれ付きでイスのようになっているなど、工夫されています。
愛美は5才の秋に自転車の補助輪なしで乗る練習をしている頃に、心不全で入院してしまったので、一人で自転車をこぐのは約6年振りでした。親の心配とは裏腹に、上手に乗れて、本当に楽しそうです。
初めて家族4人でサイクリングに出掛けた時には、私が一番後ろを走ったのですが、主人と愛美と弟のまさるの背中を見ながら、これが幸せなんだと胸が熱くなりました。
普通のご家庭では、当たり前の光景かもしれませんが、愛美が大きくなって私の自転車の後ろに乗せるのには、限界がきていた上に、愛美が普通の自転車に乗ることは不可能なので、当然の様にあきらめていたことが、現実となり、嬉しかったです。 リハビリの先生に障害者向けに自転車を作っている会社があると教えていただき、出会えて本当に良かったです。

また、休みの日などの暇な時に親と遊ぶだけでなく、愛美が一人で楽しく時間を過ごせる趣味ができればと考え、お菓子作りやミシンを試しています。
ミシンは以前一緒に入院していた女の子のお母さんが、元々器用な愛美に薦めてくれていたのですが、当時は私に余裕が無く、試せずにいました。 やらせてみると、ミシンは足でスタート・ストップが出来ますので、左手だけでも縫うのには問題がありませんでした。問題がないどころか、不器用な私よりずっときれいに縫えています。 これまでに学校で使うランチョンマットや上履き入れなどを作りました。 愛美もミシンはとても楽しいようで、趣味として向いていると思います。
左手だけで作業する愛美が、一人で楽しむようになるまでには、布を裁断したり、ミシンを使って縫う前の準備(布を合わせてまち針をうったり…)が今後の課題ですが、リハビリの先生とも相談しながら、方法を見つけてあげたいです。

日々の生活での注意点ですが、毎日服用している免疫抑制剤の副作用の為に、直射日光を避けなければなりません。ただ日焼け止めをしっかり塗っていれば、炎天下でも問題ありません。
また感染予防のため、プールに入って泳いだり、公衆浴場に入ることや、動物を触ることも控えています。お刺身など生ものを食べることもしていません。
毎日の服薬は当然ですが、血圧や体温を測ることも必要です。
自分の体を守る為に必要なことではあるですが、愛美にとっては、他の子はしていないケアをしなければいけなかったり、他の子と同じに出来ないことが沢山あって、イライラの原因になることが多いです。 失語症のため、思いを全て表現できず、「高次脳機能障害」もあり、感情のコントロールがとても難しいです。思春期に入ってきたこともあり、私とぶつかることもあります。 愛美の中には、きっと伝えたいことが沢山あるのだろうと思うと、聞いてあげられないもどかしさがあります。聞いてあげたいです。

学校生活ですが、ご報告しておりました通り、5年生から特別支援教室の固定級に転校し、2年目となりました。
愛美に必要な学習を愛美のペースで受けることが出来て、特に国語力・言語力が上がってきていると思います。 得意の算数は、普通学級の6年生と一緒に学習することも続けています。「交流学習」と呼んでいます。 交流学習は算数の知識だけでなく、固定級では得られない刺激を受けることも出来て、愛美にとってはとても良い環境で過ごせていると思います。
現在は音楽も交流学習をしています。 何よりも、固定級の先生が、親と同じように、愛美にとって何が必要か、将来のことも含めて考えてくださって、実践してくださることが、本当にありがたく心強いです。 交流学級や交流学年、専科の先生方にも大変良くしていただいています。

また、固定級での同年代の女の子のお友達との関わりの中で、コミュニケーションや対人関係の練習が楽しく出来て、言葉が増えてきているように感じます。 それぞれ補い合い、助け合い、励まし合える、とてもいいお友達が出来ました。 普通学級にいた頃より、明るくなりました。お友達には感謝しています。

それから昨年の新型インフルエンザの流行時には、とても気を使いました。 学校での感染を大変心配しましたが、先生方がとてもよくケアしてくださって、学校閉鎖にも学級閉鎖にも負けずに、元気に過ごすことができました。
最近は高熱を出すことも少なくなりました。 常備薬としていただいている風邪薬を早めに飲ませるタイミングを、少しつかんできたように思います。 毎日2回計測している血圧や体温でも、調子が読めるようになってきたかもしれません。 ただ過信は禁物なので、注意深く体調を管理したいと思います。

5月下旬に運動会がありました。今年の種目は、90m走・組体操・鼓笛パレードでした。 90m走は昨年も走りましたが、今年も一生懸命走って、2位になりました。
組体操をやると聞いた時には、右片麻痺がある愛美には無理だと思いました。しかし、愛美がどうしてもやりたいと言い、先生も出来る範囲でやらせたいとおっしゃってくださいました。練習の様子は、聞いていたのですが、本番は想像以上に頑張っていました。 倒立やブリッジは出来ませんでしたが、その他はほとんど一緒にやりました。ピラミッドも一番下で支えました。右手は開くことが難しく、グーの状態ですが、よくやったと思います。

鼓笛パレードはピアニカを担当しました。これまで固定級の生徒が、鼓笛パレードに参加することはあまりなかったようですが、愛美は音楽の交流学習もしていますし、昨年の運動会でのパレードを見て、やってみたいと思っていたようです。 ピアノを習っていますので、ピアニカを左手で弾くことは問題ないと思っていましたが、そのピアニカを右手で支えて、弾きながら歩かなければなりません。 皆は立奏用の吹き口で吹き、ピアニカを縦で演奏していましたが、愛美は卓奏用のパイプを付けて、右手でピアニカを横に持つように支えて演奏していました。 右手は愛美の意思とは関係なく動いてしまうので、安定させるのが難しそうでしたが、 皆に引けを取ることなく、立派にパレードしていました。ハンデを持ちながら、一生懸命に頑張っている愛美は、本当に偉いと思いました。

その姿を見て、自然と涙が出てきました。生きていてくれてありがとうと心から思いました。上手く言葉に出来ませんが、ドナーとそのご両親が愛美に託してくださった命を大切に、何があっても守っていこうと改めて思いました。
ドナーファミリーへは、愛美が自転車に乗っている写真を添えて、今年も5月にお手紙を出しました。 今後もドナーファミリーへの感謝の気持ちを忘れずに、毎日を大事に過ごしたいと思います。

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「あみちゃんを救う会」事務局

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